story
あらすじ
戦国動乱の世、豊後一の女剣士・山本結衣は、小城の姫を守り敵軍兵と戦う最中、突如、500年後にタイムスリップ!時空を超えてやって来た現代で、結衣は大分県の麦焼酎メーカー・藤居酒造の会長・藤居裕美子に救われ、一宿一飯の恩を返そうと弱小剣道部の再生に乗り出す。
一方、かつて天才剣士と称されたヤメ剣の青年社長・藤居正人は、焼酎事業拡大の為、剣道部の廃部を考えていた。結衣は剣道部を守る為、弱小部員を鍛え直し、正人に挑戦状を叩きつける。
対立する結衣と正人だったが、剣道への情熱やお互いの純粋な心に触れて、次第に惹かれ合っていく。しかし時空を超えた恋に本気になってはダメだと、必死に恋心を抑えるのだった。
やがて結衣と正人は、実業団剣道部日本一!を目標に手を取り合うと、再び結衣にタイムスリップの予兆が?!結衣は戦国の世に帰ってしまうのか?剣道全国大会や、正人との恋の行方は一体、どうなる?!
全日本剣道連盟副会長:真砂 威 様
いざ、真剣勝負!?
まずこの映画は、真っ当に剣道へ向き合った作品と評価いたします。
世に知れる妖刀「村正」を介して、戦国時代と現代を直接結びつけ、刀剣による剣術から現代剣道へ、その伝統性を浮き彫りにさせ、剣道の真価を世に問う内容でありました。
この作品は剣道側の監修が十分行き届いており、奇をてらう場面も少なく好感が持てるストーリーでした。
最強の女剣士・結衣(北乃きい)を、戦国時代から現代に500年もタイムスリップさせる神業は、会長・裕美子の年の功、松原智恵子さんの演技力によって見事に切り替わりました。
また、八代亜紀さん扮する居酒屋「まき」のママの、時を外さずその場にかなった言葉を紡ぎだす、燻し銀的な存在はしずかな光りを放っていました。その八代さんは昨年末に亡くなられ、この作品が遺作となってしまいました。誠に残念なかぎりです。心よりご冥福をお祈り申し上げます。
この映画は、『剣道の理念』が謳う「剣の理法の修錬」と「人間形成の道」を結びつける場面や至言が随処にちりばめられており、まさに剣道賛美の作品と評させていただきます。